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コラム『歯科医院経営を考える』

デンタル・マネジメント・センター代表 稲岡 勲

バックナンバー 2015

№459 歯科医院の職種別給与

現在日本の経済は足踏み状態が続いているが、雇用関係だけは好転して人手不足が著しい状況にある。特に歯科医院のスタッフの例では、衛生士の確保が極めて難しい状況になっている。そのような状況を背景にして、衛生士給与の対前年比が比較的高い値になっている。表は今年11月に公表された中医協の調査による職種別給与表に少し手を加えた平成26年の職種別給与と賞与である。比較し易いように年間の給与額を12で割って月平均の金額を出している。右端の欄は対前年比である。個人の技工士、法人の衛生士の給与の伸びが大きい。国は衛生士の数を減らそうとしているという話を聞く。歯科医師の直接管理の下でなくても衛生士業務ができるようになったが、そうした規制の緩和がより一層衛生士の給与ベースの引き上げにつながっていくのではないか。それはまた介護施設や病院に就職する歯科衛生士が増えることによる給与ベースの上昇も気になるところである。

            歯科医院の職種別給与

  月額平均
①給与額 

 26年の

年間
②賞与額

賞与

月数 

①×12+② 対前年
伸び率 
歯科医師   個人 445,657 617,622 1.39 5,965,512 3.5%
 法人 482,032 179,295 0.37 5,963,688 1.1%
 歯科技工士  個人 269,482 499,407 1.85 3,733,194 6.5%
 法人 342,443 494,879 1.45 4,604,201 ▲3.8%
 歯科衛生士  個人 197,213 327,092 1.66 2,693,659 2.4%
 法人 206,015 370,648 1.80 2,842,835 5.1%
 事務職員  個人 186,424 297,520 1.60 2,534,611 1.4%
 法人 205,734 279,009 1.36 2,747,822 ▲1.2%
 その他職員  個人 158,569 247,449 1.56 2,150,288 0.5%
 法人 195,742 296,017 1.51 2,644,929 3.1%


注①月額平均給与額とは、年間の給与額を12で割った金額である。
注②賞与月数は年間賞与額を月額平均給与額で割った数値である。基本給で割った月数ではないので注意いただきたい。
注③資料は中医協の平成27年11月の公表された資料に基づいて筆者が加工したものである。
注④事務職員とは受付等の職員、その他職員は歯科助手である。

№458 死亡消費税とハーボニー

わが国では急速な少子化が進み、膨らみ続ける高齢者医療費が問題となっている。それに対して高齢者自身が一部負担すべきであると主張しているのが東大教授で社会保障制度改革国民会議の民間議員である伊藤元重先生である。その方法として伊藤先生は「死亡消費税」という消費税を提唱している。それは死亡したときに課税するという理論で話題を呼んでいるものだ。日本では急速な少子化が進む中で、高齢化が進み且つ高齢者の人口が増加している現状から、膨らみ続ける高齢者医療費は高齢者自身が一部を負担すべきだというのである。その場合高齢者がもらう年金に課税するのではなく、年金を消費に回してもらえば消費税として財政に貢献するが、使わずに溜め込む人には、その高齢者の保有資産に税をかけるという発想であり、しかも生前ではなく、死亡時に課税するというのである。死ぬと同時に遺産から消費税と同じ程度の比率で一律に税を徴収する。つまり死亡消費税である。これは膨れ上がる医療費でにっちもさっちもいかない我が国の財政負担を何とかしなければならないという危機感からでた苦肉の策なのだ。一方で今年の7月に薬事審議会で承認され、8月の中医協でも保険治療薬として承認された「ハーボニー」(アメリカの制製薬会、ギリアド・サイエンシズ社が発売)というC型肝炎治療薬は1錠が80,171円だという。ただこの薬は臨床試験でC型肝炎ウイルスをほぼ100%死滅させるという。しかもC型肝炎の患者はこの薬を1日1錠、12週間にわたって飲み続ける必要があると言われているから1人の患者の薬代は673万円かかる。その「ハーボニー」が薬事審議会で承認され、しかも「患者の負担を減らすため」という理由で患者の窓口負担金を1月最大2万円とすることに決定したという。(雑誌「選択10月号」)現在日本にはC型肝炎患者は30万人以上いると言われているが、そのうちの7割を占める1型患者に効くとされているから約21万人であり、その人たちがこの薬を使えば1兆4千133億円になる。さらに日本にはC型肝炎ウイルスに感染している人が150万人に上るというから、「ハーボニー」の潜在的需要は7兆円近くになるのだという。「患者のため」という理論の前で、誰もが反論できず、次々に高額な医療費や薬剤が承認されていく今の現状をどう改革していくか。未承認の抗がん剤や先進医療で借金を背負い苦しむ人もいる中で、どのような公平の原則と医療費抑制を図るか真剣に考えるときが来ている。

№457 マイナンバー制度(2)

以前にも取り上げたマイナンバー制度がいよいよ運用される事態となった。10月5日の基準日を基に12桁の番号が割り振られる。家族単位で番号が送られてくるが、一人一人の番号は住民票に従い安全に独立した番号で、1人1番号となっている。運用は平成28年1月からだが、実際に使用される(運用される)のは社会保障と税務関係及び災害対策の3分野である。9月3日にはマイナンバー法改正案が衆議院本会議で可決・成立したから平成30年からは銀行預金口座にもマイナンバーがひもづけされる。ただ預金者には自分のマイナンバーを銀行に告知する義務はないとされているが、将来は義務化される可能性は高い。また医療法人等の法人に対しても13桁のナンバーが付けられるが、今後のマイナンバー制度の運用スケジュールでは、平成28年1月からは「個人番号カード」が(本人の申請によって)発行されメタボ検診や国家公務員の身分証明書として一元化される。平成29年からは国の行政機関同士で情報連携を開始し、7月からは地方自治体とも情報連携を開始することになっている。つまり必要な個人情報が国や地方自治体でやり取りされるということである。それに従って「マイナポータル」といわれるシステムが稼働するとされている。これは自己の個人情報を自らが閲覧できるようにすることとか、国や自治体が自分の個人情報をどのようにやり取りしたのかの一覧記録や予防接種や介護、年金のお知らせを「個人番号カード」を使ってみることができるというものだ。それほど意味のあるものとは思えないが、自分の個人情報がどう利用されているかが確認できるという程度のものである。その他に個人番号カードを健康保険証に利用するとか、キャッシュカード、クレジットカードとして利用する等が検討されている。さらには「各種免許の公的資格確認機能」の搭載も検討中となっており、運転免許証、医師・歯科医師免許、教員免許等の公的な資格証明書も個人カードと一体化する可能性が高い。平成30年からの運用面では上記の預貯金カードへのマイナンバーの適用が大きいが、それ以上に大きな問題は医療分野でマイナンバー制度の段階的な運用開始である。個人情報の最たるものが出自に絡む戸籍情報や病歴に絡む医療情報である。それらが組み込まれてくることによって医療機関では個人情報の管理が極めて重要になる。カルテにマイナンバーを記載するようになれば、カルテの管理を厳重にしないと情報の漏洩にさらされる恐れがある。レセプト用コンピューターを請求用回線につなぎっぱなし等というようなことをすれば、何時、どのように侵入され個人情報が漏洩するかわからない。レセコンには厳重な鍵をかけ、暗証番号を持った請求担当者を決め他の人間には触らせないといった厳重な管理が必要になるのではないか。漏洩した場合の患者からの賠償責任は経営を危うくする事態も想定される時代になったということである。

№456 わたぼうし音楽祭の40周年

障害を持った人たちが作った詩をメロディーにのせて競い合う「わたぼうし音楽祭」という音楽祭がある。この音楽祭は1976年奈良で生まれ、今年で40回という長期にわたって続けられており、日本各地で「わたぼうしコンサート」として、海外では「アジア・太平洋わたぼうし音楽祭」として開催されている。筆者が所属しているパイロットクラブという奉仕団体が全面的に支援していることもあり、会長として全国から寄せられた691作品の詩の中から、優秀な詩の選別から賞の授与まで関与させてもらった。今年の「わたぼうし大賞」は中学生の丸井沙希さんが作詞した「花」が選ばれた。「耳に付けているのは何?」そう聞かれるたびに笑ってごまかした 不器用で上手く言葉で伝えられない ずっと長い髪もくくらない 皆が笑ったりする理由も分からないまま ただ話についていくことだけで必死だった 「いつまでこんな日が続くのかな」そう思っていた 自分の世界は蕾のままだった 「話をしよう」って1人の女の子 また必死で言葉を 伝えようとした自分が居た ふと周りを見ると とつぜん色めいてきた気がした 気づけば皆と目と手で会話してた 心から笑えるように 髪がくくれるようになった 自分の世界に色とりどりの花が咲いた これに大学生の黒木祐里さんが作曲をして完成させている。閉ざされた自分の心が、ふとしたきっかけで開かれ、周囲の人たちとの交流の中で自分の世界が開かれていくという素直な喜びと感動を詩に託して歌い上げている素晴らしい詩である。「障害のある人たちが書く詩は、生きることの喜びや哀しみ、命の尊さや人間の素晴らしさを歌っています。そこには人間としての大切なものを忘れがちな、今の社会へのメッセージがあふれています」と主催している「たんぽぽの家」の冊子にある。障害のある人々がイキイキと生きる社会、また周囲の人々もそれを温かく見守る社会というのは、せいぜいここ10年程度のことで、それまでは、社会の片隅で隠れて過ごしていたというのが実態である。現在でもまだまだ偏見や差別が存在しているが、平成18年に「障害者自立支援法」が施行され、そこでは身体障害、知的障害、精神障害の一元化や実施主体の市町村への一元化を図り、相談支援体制の強化、障害児支援の充実、強化が図られた。平成23年には「障害者基本法」が改正され、全ての国民が障害の有無にかかわらず尊重される共生社会の実現を目指すこと、そうして同年には「障害者虐待防止法」が、平成25年には「障害者差別解消法」(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)等が次々に成立した。こうした歴史をみるとわたぼうし音楽祭の40周年と言うのはとてつもない業績だ。歯科医療においても今後障害者治療の面で大きな役割が期待されていると思う。

№455 院長の責務

ある歯科医院に入社して2年4か月の衛生士がいる。優秀な成績で衛生士学校を卒業し、常勤の衛生士が2人いる歯科医院で見習いを終えて衛生士業務を始めている。非常に真面目でよく気が利き、素直でおとなしい性格で申し分ないのだが、無口であまりしゃべらない衛生士なのである。パートの歯科助手が2人いるが、受付が手薄になると歯科助手が駆り出されるので、ついつい歯科助手として使われてしまう。良く気がつく子だから忙しいときには滅菌業務等も積極的に手伝い他のスタッフからも好かれる存在である。しかしこのまま歳を重ねると能力に見合う実力を身に付けることがかなり難しいのではないかと思う。つまりこの子の現状から見えてくる将来像が描けないのである。この歯科医院の場合は、院長が歯周・予防に力を入れているから衛生士は担当制で患者のメンテナンスを実践しているが、それぞれの担当を見ているだけで後輩の指導にまで目が届かない。こういう場合は院長のマネジメント如何によって有能な人材が埋もれてしまう場合がある。衛生士はスケーリングやルートプレイニングの技術だけでは成り立たない職業である。何よりも患者に口腔衛生について説明し納得させ、患者自身に歯を磨くという行動を起こさせる必要がある。痛くなければ歯科医院に行く必要性を感じず、行く習慣もない患者に定期健診を勧め、納得してもらうことは極めて難しい作業である。一通りの説明では納得してもらえるわけがない。いくら説明しても「ハイハイ」と生返事ばかり繰り返す患者にどこまで真剣に取り組めるか。治療代を上げるために何回も通院を勧めているのではないかと疑心暗鬼になっている患者をどのように真剣に聞く耳を持ってもらえるか。見方を変えれば歯科衛生士本来の仕事は、その後の作業に過ぎないのである。若い衛生士の場合、友達仲間とは何の苦労もなく話せるが、少し年上の人や男性の患者になると話す言葉や内容に行き詰ってしまう。だから最初はマニュアルを作ってそれで挨拶の仕方や話し方のパターンを学ぶことが不可欠だろう。そうしてどのような話題で話そうかと考えだしたら、意識して新聞や雑誌をみることだ。常に意識することが大事だし、そうすることで他人の話が耳に残る。その上で文学書を読んでみることだ。古くは谷崎潤一郎や川端康成でもよいし、若い作家の本でもよい。純文学の本を読むことで人間の心理、心の動きが理解できるようになると思う。また深く付き合う患者の人生にふれることからも学ぶことがあると思う。最終的にはいろんな患者と接触して人間関係を深めていく中で、自分という人間を成長させることができるようになると思う。自分という人間の思考や思想、人間観を形成するところまで行くことができれば、最高の人生を生きたと言うことになるのではないか。院長の重責は、そのような若いスタッフの人生の道先案内人として責務もあると思う。

№454 経営の安定化と医療法人

TV等で活躍している室井祐月氏が東京都女性歯科医師の会で講演し、日歯の大久保会長と対談している。大久保会長が「女性ならではの発想による意見で組織が変わる可能性についても期待している」と述べたのに対して、「組織の看板的な役割で入っている女性は、女の目から見れば単に男社会の中で上手くやっているだけという風に感じます。もし組織に女性を入れるならば、意見が言いやすいように半数近く女性にするか、女性から選ばれた女性を入れなければ本音の意見は出ないように思います」と厳しい意見を述べている。最近は国の政策においても女性の活用が叫ばれているが、本当に女性の社会進出を図るつもりならその程度のことは徹底して実行する必要があると思う。例えば主婦の収入に対する「年間103万の壁」と言われる優遇税制は、厳しい見方をすれば働かない者の優遇であり、「頑張らなかった者勝ち」の制度だという意見もある。家庭の標準モデルが「夫と専業主婦と子供2人」だとしていることもおかしい。「夫婦共稼ぎで子供3人」をモデルとしてこの標準家庭を全ての面で優遇する制度に改めるべきではないか。先進国で少子化を克服したのは女性の社会進出を達成した国だということを銘記すべきだ。歯科医院にとっては衛生士、歯科助手、受付は全て女性であり、一見女性の論理が優先しているように見えるが、実態は個人事業で院長の意向が極めて強く反映されていて、その院長の思想に大きく左右されるのが実態である。今後上記のような女性の社会進出が強くなってきた場合の歯科医院のマネジメントのありようも大きく変わるのではないか。例えば、有給休暇でも規定通り与えている医院はまだ少数ではないか。ましてやパートの有給までは手が出ていないと思う。今後は少子化が進み、若い女性の確保は極めて困難になる。産休、育休制度の導入は勿論、パートであっても労働保険加入を義務付け、安定した雇用体制を構築することが不可欠になる。ただ安心してお産ができ、安心して子育てができる。また健康なら65歳まで働ける、こうした従業員にとって安心のできる雇用体制を作ろうとする場合、どうしても経営にゆとりがなければ実行は難しく、歯科医師1人の個人事業では不可能にならざるを得ない。そういう意味からも歯科医師3~5人程度の歯科医院で法人化が大きな課題になると思う。以前は「節税」という切り札が法人化の目的であったと思う。しかし時代が変わり、今や患者にとっても、またスタッフにとっても安心のできる経営を目指すなら法人化を考えるべきである。しかも法人税率は25.9%から23.9%に引き下げられた。今後も国際競争の面から法人税率の引き下げの可能性が高いと思う。今後の歯科医院経営を考えた場合、雇用制度の維持安定、長期の経営の安定化を図る意味からも法人成りを真剣に考えるべきではないか。

№453 治療技術習得の方法

最近高度先端医療を実施している大学病院の腹腔鏡手術に関する死亡事故が問題になっている。群馬大学病院では’10~’14にかけて肝臓の切除手術を受けた患者が術後4ヶ月未満に8人死亡したとされる。また千葉県がんセンターでは術後に11人の患者が相次いで死亡したと問題になっている。ただこの間の治療件数が何例あったのかが公表されていないから死亡事故の比率はわからないが、’10年9月まで勤務していた麻酔科医(42歳・女性)が内部告発をしており、それによれば執刀医はこの術式の経験が過去に1例しかなかった上、再手術で麻酔を担当したのは、研修中の歯科医師だったと証言している。こうした状況から腹腔鏡手術をやめるよう、センター長(当時)に直訴した外科医もいたという。内部告発した麻酔科医によれば、研修という形をとりながらセンターでは違法にも何人かの歯科医師を雇い麻酔科医の代わりに手術の麻酔をさせていた。(日本歯科新聞・田辺功)実際に歯科医師による麻酔で、患者が植物状態になる事故も起きていたというから深刻な問題である。一般の市中病院ならともかく、高度先端医療を標榜している病院でこのような状況だとすれば問題だ。しかし治療技術というものは治療の症例を重ねていくことで技術が身に着くものだから、技術習得にとっての教育方法の確率が不可欠ではないか。しかし麻酔科医の代わりに歯科医師が麻酔を担当するというのは問題だと思う。今から20数年前に虫垂炎にかかり、それも手遅れに近い状況で緊急入院したことがある。その病院の外科医のN先生は県下では名医として知られた先生だったから安心して手術を受けた。しかし下半身麻酔(従って何もかもがよく聞こえたし、意識も明瞭だった)の後に手術が始まってみると、助手の若い先生が執刀することになり、N先生は指導医として一緒に立ち会ってくれたが、「エッ!」と驚いていると、「ああ!そこは切ってはだめだ!」とか「そこはもう少し縦に切らないとダメじゃないか!」と大声で指導する声を聴いて冷や汗、汗びっしょりになった。このようなことなら全身麻酔にしてくれたらよいのにと恨んだものだ。盲腸手術のような簡単なものならそれでもよいと思うが、昨今のインプラント埋入手術のような高度な治療の場合は体系的な方法の確率が不可欠だと思う。昨年筆者の女房が近くの歯科医院で上顎前歯にインプラント埋入手術を受けたが、上に突き抜けてしまいインプラントの金属が鼻腔にはいり取れなくなり、奈良医大に連れて行き取り出すのに3時間もかかるという経験をした。問題なのは突き抜けていることをその先生は気づかず、うがいをしようとしたら鼻から水が流れて初めて気が付いたと聞いて驚いた。前にもふれたが、アメリカインプラント学会のように全ての道具、材料、人員をそろえて後進国に出向き、埋入を希望する患者に朝から晩まで次々と無料で埋入し、一人の歯科医師が一週間に十数症例をこなすという技術習得方法も一つの選択肢なのかもしれない。

№452 短時間正社員制度

政府は働き方の選択肢を広げるという趣旨で労働を成果で評価するという考え方(従って時間外手当がゼロになる)やフレックスタイム制の拡大を図り、3ヶ月単位で残業代を計算する方法等、労働基準法の改正案を閣議決定している。景気回復という目的もあり給与賃金や働き方等労働行政に対して力を入れてきている。それに対しての助成金制度(キャリアアップ助成金)も多岐にわたる。例えば①正規雇用等転換にかかる助成金制度では、期間を定めて採用している従業員を正規の従業員として採用した場合は、従業員1人当たり50万円の助成金を支給、②正規雇用労働者を「短時間正社員」に転換もしくは新たに短期正社員を雇い入れた場合は1人当たり20万円の助成金支給、③有期契約労働者等に一般職業訓練を実施した場合は1人1時間当たり800円の賃金助成と、100時間未満の場合で1人10万円、100~200時間が1人20万円、200時間以上が1人30万円の経費助成金支給、④有期契約社員の基本給等を2%以上引き上げた場合は1人につき3万円の助成金(処遇改善の助成金)支給、⑤有期契約社員等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合は、1事業所あたりに40万円の助成金支給、⑥労働者の週所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長し、社会保険を適用した場合は、1人当たり10万円の助成金支給等々である。現在の歯科医院で主流となっている若い女性スタッフ(20~24歳)の人口は、総務省統計局の平成23年10月時点での「国勢調査」によれば、3,116千人となっているが、同年の10~14歳の女性人口は2,884千人である。10年後には232千人減少することが確実である。一方では高齢化が進み退職する人も増え、労働人口が急激に減少することを考えれば、長期的な視点で現在の人材の定着を図ることが極めて重要になる。特に歯科医院経営にとっての歯科衛生士の確保は重要な経営戦略の一つになる。その意味で上記の「短時間正社員」の制度を検討してみる価値があるのではないか。育児・介護休暇制度は法律で決められていることもあり、整備している医院は多いが、短時間正社員制度はまだまだ普及はしていない。だからこそ導入の価値があると思う。これは正規の従業員に比べて短い勤務時間を認め且つ給与面では基本給や賞与も支払い正規の従業員と同等の扱いをするというものである。勿論勤務時間が短いから全額ではないが、時間当たりの基本給、賞与、退職金等が同等であることが条件となっている。育児休暇期間は無給であっても雇用保険から育児休業給付金が給与の50%程度支払われるから問題はないが、まだ子供が小さい間はパートになるケースが多い。しかしあえて正規の従業員と同じ扱いにして、安心、安定して勤務できる制度を考えるべきではないか。この制度を導入して1日10時間勤務、週休3日の勤務体制に移行している医院も出ている。

№451 適正な歯科医師数は

各地の歯科医院を訪問していると、医院の子息が歯科大学や医科大学に進学したり、卒業して国家試験を受験したりで、慌ただしい家庭がある。世代交代の準備も着々と進んでいる家庭も有れば、医系の大学に入れず、また入っても国家試験に合格できず、親子間で感情のもつれが生じている家庭もある。医系の大学では必ず国家試験の関門を通過しなければならず、家庭内が緊張感で張り詰めた状況になるときがある。医科・歯科専攻の学生の居る家庭での精神的緊張は極めて大きい。過去にも奈良で医学部受験にうるさい父親の医師を殺害した学生がいた。こうした悲劇が起こらないことを祈るばかりだ。ただ無責任な言い方だが、「医学の道」だけが人生ではないのだから、子供の個性や能力、性格を見て医系以外の道を歩ませる寛容性も必要だと思う。子供の性格や能力によっては医系に向かない子供もいる。それを見抜いて親が無理強いしないことが大切で、ついついそれ以外に人生がないという見方をしてしまうのは親子にとっても不幸になると思う。聞くところによれば最近の歯科医師の国家試験の合格者数が制限されていると聞く。歯科医師過剰の影響であろうが、受験する者にとってこれほど不条理なことはない。国が定めた内容の学術知識を修め基準を満たしているなら合格させるべきではないか。歯科医師数が多いのであれば、大学の定員を減らすべきである。歯科大学の中には国試の合格率の低下を気にして大学の卒業生の数を制限しているところもあると聞く。本末転倒もいいところでひどい話だ。受験生の人生を台無しにしてしまう恐れがあることを承知しているのだろうか?不合格にされ留年させられた方こそ迷惑なことであり、留年中の授業料を考えても親にとっても大きな負担になる。親にとってみれば子供を人質に取られているようなものだ。勿論合格の基準点は明確にされるべきだし、合否は明確であるべきだが、合格者数が制限されるというのは合点がいかない。国家試験そのものの権威を失墜させることにもなるのではないか。日本歯科医師会は新規参入歯科医師数を年間1,500人という推計を打ち出している。そうした数値も参考にされているのかもしれないが、現在の歯科医師の平均年齢が50歳を超えている現状から考えて果たして10年、20年の長期的な視点で考えた時、その人数で十分なのかどうか。また歯科医療の内容、特に医科との連携等を考えると、医療、福祉、社会保障制度の見直しが実施される中で、歯科医療の役割が大きく変貌することも視野に入れる必要があるのではないか。寝たきりになり介護を必要とするようになると、歯をたくさん持っている人の方がかえってやりにくいと知り合いの医科の先生は言うが、それが実態であるとすれば、今後高齢人口が増え、介護人口が増えてきたときに、その人たちの歯をどのように管理し、維持し、保存していくのか、予測し準備しておくべきだと思う。

№450 オバマケア

日本医師会の会長横倉義武先生が絶賛されている「沈みゆく大国アメリカ」(著者堤未果、集英社新書)が、日本の医療制度に警鐘を鳴らしている。アメリカには原則として公的保険はない。オバマケアと呼ばれる公的保険は出来たが、公的保険と呼べるものとはほど遠いものだと著者の堤さんは書いており、日本の医療は社会保障という位置づけだが、アメリカは「ビジネス」という位置づけだと指摘している。アメリカには低所得者向けの「メディケイド」と高齢者向けの「メディケア」という公的保険がある。「メディケイド」は最低所得層のための公的保険であり、「メディケア」は65歳以上の高齢者と障碍者・末期腎疾患患者のための公的保険である。どちらも日本の公的保険のように保険に収載されている病気なら全て1割~3割負担(高額療養費制度もあり高額の治療になれば負担率はさらに下がる)で済むという保険ではない。「メディケイド」の場合は、低所得者で資産がほとんどない人が対象で、メディケイドの資格要件は州毎に違っているという。非常に所得が低くても家や株等の資産がある場合は適用されないという厳しいものだ。アメリカでは毎年150万人が自己破産していると言われているが、「医療破産」と言われるのはこうした制度が背景にあるのだろう。メディケアの場合、適切とみなされる医療サービス(保険適用サービス)にのみ支払われるという。高度な治療でも保険適用であれば、全て保険で治療ができるという制度にはなっていない。それぞれの保険適用サービスに対してメディケアは、許容限度額を設定している。許容限度額とは特定の医療サービス(治療)に対して医療提供者(医者)が患者に対して直接請求することができる最高額である。しかし保険適用サービスに対する許容限度額の全額がメディケアから支払われるわけではない。同書の36ページにはオバマケア保険で「くるぶし骨折」の医療費(3回通院)を受けた場合の支払例が掲載されている。(是非読んでみていただきたい。アメリカの医療制度の問題点が浮き彫りにされている)この治療に保険を使わないで治療した場合は640万円かかるそうだが、オバマケア保険で治療を受けた場合は総額6,350$(749,300円)の支払いをすることになるという。先ず、最初に自己免責額として4,000$(472,000円)を支払い、通院1回ごとに60$(1$=118円)を支払い、さらに患者負担として2,290$(270,220円)の支払いをする必要があるという。ただしこれは保険会社のリストに掲載されている医者、病院での話で、リスト外の医者や病院の場合は15,000$(1,770,000円)にもなるという。しかも毎年保険料を4,800$(566,400円)支払って、この治療費負担である。公的保険とは名ばかりで、これでは無保険者が4,700万人というのもうなずける。その点で日本の医療保険制度は素晴らしいと思う。しかし財政的に立ちいかなくなっていることも事実である。この素晴らしい制度をどう維持していくか真剣に考えなくてはならない時が来ている。

№449 患者への働きかけを

政府・与党連絡会議では次期通常国会を「改革断行国会」と位置付け、業界団体が守ってきた「岩盤規制」の打破に本格的に取り組むという。岩盤規制の一つである農協改革が現在進行中で、農協の上部構造としての全国農協協同組合中央会(JA全中)の改革が進められており、農協の上部構造であるJA全中を一般社団法人にする予定という。そうなると上からの指示で全国の農協を動かすことができなくなるわけだ。政府とJA全中の睨み合いが続いているが、いずれ医療制度改革の問題になることは目に見えている。新年度の予算案が確定したが一般会計96兆3,420億円のうち、社会保障費は32.7%を占める31兆5,297億円となった。団塊の世代の最後の年齢層の人が75歳を迎える2025年問題の解決策として、今後医療費の削減が大きな問題になると思う。年末の衆議院選挙では社会保障費抑制の問題は全くと言っていいほど話題にならなかったが、何よりも一番大きく且つ重要な問題は増え続ける医療費をどうするかである。どう考えても現状のままで医療制度を維持することは不可能である。筆者の近くに奈良医大があるが、広大な駐車場が満杯になり、日曜日以外は人混みでごった返している。奈良医大に限らず大きい病院はどこも満員御礼の賑わいである。多くの病院では入院費の高い救急・重症向け病床を増やし、全体では厚労省が必要としている数の10倍以上の36万床に上る一方、リハビリ向けは10万床を割り込んでいるという。救急・重症向けの入院基本料はリハビリ向けの約1.5倍の1日当たり16,000円弱になるから、病院はこぞって重症向け病床を増やしているからである。入院医療費は医療費全体の約4割を占め約16兆円だという。(1月4日付日経新聞)今後「地域医療構想」の策定により、適正な病床数の算定方法の指針を提示して削減するという。一方で厚労省は予防重視の姿勢を鮮明にしており、歯のメンテナンスを実施している患者の健康についてヘルスケアー研究会に調査依頼が来ているという。10年以上メンテナンスを続けている患者2,500名の健康データーにより、歯のメンテナンスと健康との関係を把握することが目的のようである。まだまだ一般には全身の健康と歯の健康との関係については理解が十分ではない。日本歯科医師会が実施した「歯科医療に関する一般生活者意識調査」の「歯科と全身の健康に関する認知」の状況では、歯周病と糖尿病や心臓疾患など様々な全身疾患の関係に関連する質問のすべてについて「まったく知らない」とする回答が5割を超えており、まだまだ身体の健康における歯科医療の重要性認知度が低いと言わざるを得ない。もっともっと一般の人への働きかけが必要である。その意味で歯科医院での歯周・予防のメンテナンスの場において、全身との関係について患者の意識を変える働きかけが必要ではないか。歯だけの話しで終わっているものはもったいない話し(歯無し)だ。

№448 衛生士の確保と労働条件

アベノミクスの成否が問題になっているが、明らかに求人数は増え厚労省が発表した平成26年10月の有効求人倍率(1人の求職者に対する求人数)は1.10(最低は沖縄、埼玉の0.76、最高は東京の1.59)で、新規求人倍率は1.69だったと公表され雇用面では好況を反映している。特に歯科関係では歯科衛生士と歯科技工士の充足率が著しく低い状態である。技工士の場合も深刻だが、歯科医院の場合は個人開業が圧倒的に多いから、衛生士の確保が極めて難しい。今後予防歯科医療の推進や急速に進む地域包括ケアに関与していくには歯科衛生士の確保は不可欠である。現在歯科衛生士学校は約150あり、毎年約6000人が新たに資格を取得すると言われる。東京では求人1人に対して100件以上の求人数があるとされ、初任給を月額25万円でも応募がないという状況である。平成24年度の時点では登録衛生士数は24万人、そのうち就業者は11万人と言われているから半分以上も就業していないことになる。今後歯科衛生士の確保を目指すなら新卒、既卒者を問わず、給与面、勤務時間、能力開発支援、福利厚生面等の労働条件等の環境整備が不可欠である。歯科衛生士の平均勤続年数は3年前後と言われるが、労務の専門家は他の職種に比べて雇用者側、被雇用者側ともに人事、労務に関する認識が甘いという。先ず給与面では、新卒者の初任給で最も多いのは22万円で、続いて関東圏では23万円、3位が21万円となっており、関西圏では2位が21万円、3位が23万円となっている。(「月刊歯科医療経済」より)少し中心部から外れるとこれより1~1.5万円程度下がるようだが、求人難の環境を反映して初任給が上がってきていることに注意が必要である。なお既卒者の場合は、この初任給に1~2万円が上乗せされているという。この給与額は基本給、職務手当等を含む金額だが、基本給はこの金額の80%程度である。これに皆勤手当が上乗せされる。DMCの調査では、歯科医院の休診日で一番多いのは週2日と祝祭日で53.7%となっているが、商業施設等で開業している歯科医院の場合は、365日営業という例もある。しかしそういう医院は完全週休2日制になっている場合が多い。一般の歯科医院の場合は、勤務時間についても朝9時か夕方6時まで、昼の休みが1時間で1日8時間労働、木曜日と日曜日が休診という例が多い。最近の若い衛生士の場合は、労働時間に対する意識が高いから、残業時間についてもしっかり計算して不満が残らないよう配慮する必要がある。例えば昼の休みの時間が短くなったような場合を勘案して「みなし残業」として残業時間にプラスしておく等の配慮が必要である。残業の時間単価もキチンと1.25倍で計算すべきであり、より長く働いてもらえるような環境整備が必要である。常勤してもパートにしても働く衛生士のライフスタイルに合わせて労働条件をきめ細かく設定して、長く働いてもらえる環境を作り上げることである。

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