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コラム『歯科医院経営を考える』

デンタル・マネジメント・センター代表 稲岡 勲

バックナンバー 2011

№411 感謝する心

筆者の私事になるが、実家が浄土宗の寺だから、是非にと進められて「五重相伝」を受けることになった。若いときに父親の僧侶になれという指示に反対して家を飛び出したこともあり、亡き父親への償いの意味も含めて受けることにした。7日間お寺に籠って説教と念仏に明け暮れるという日々であった。6日間説教をしてくれた和尚さんは分かり易く事例を挙げて解説してくれたおかげで、釈迦や法然上人の教えを少しは知ることができてよかったと思う。「人と人の縁は大切にしなければならない。人間一人で生きているわけではないから他人にも感謝しなければならない」と説教した中で、和尚さんは次のような事例をあげた。「新・平家物語」を出した吉川英治が昭和36年文化勲章を授与された記念として多くの聴衆の前で講演をしたという。ところが講演の半ばに、ふっと言葉が途絶えたかと思ったら、ハンカチを取り出して目頭を押さえて涙を拭っている。5~6分間無言のままただ涙するばかり、そうして言葉を継いでこんなことを話したという。「今皆さんに私が新平家物語を執筆していた時のことを、得意になって話しているとき、ふと執筆に専念できたのも女房吉川ふみ子のお蔭だったということに気づきました。そうしたら涙があふれてきて言葉になりませんでした。自分一人の力で執筆できたと思っておりましたが、今初めて陰で支えてくれた女房のお蔭であったということに気づかされました」と話したという。余りにも身近にいる人の存在には気が付かないものである。妻や子供、また診療所のスタッフ達等々身近にいる人ほど見えにくいものなのだ。食事の準備や掃除洗濯等やって当たり前と思っているのだ。いや当たり前とは思っていなくても、「ありがとう」という感謝の言葉をかけないで過ごしている。照れくさいというのは、まだ感謝の気持ちが弱いからではないか。心から深く「本当にありがたい」と思えば口からほとばしり出るものではないのか。人の上に立って仕事をしていく人間にとって「ありがたい」という感謝の念は必要不可欠の心だと思う。自分の息子と一緒に診療している先生がいる。息子はスタッフがなかなか言うことを聞いてくれないので、院長になったら全員解雇すると息巻いている。それに対して院長は息子の短慮をたしなめるのだが、一向にいううことを聞かない。経営者の経営業務の一つに「後継者の育成」があるが、その基本は「感謝の気持ち」を育てること、「ありがたい」という感情を育てることである。給与を支払っているからやって当然だという発想しかできないということは、人の心が読めないということであり、事業を大きく伸ばす経営者には絶対なれないことを意味している。

№410 日本で一番大きい歯科医院 

日本で一番大きい歯科医院と言われる医療法人徳真会グループの理事長松村博史先生が「日本でいちばん大きな歯医者の秘密」という本を出しておられる。国内25か所、中国に9か所の歯科医院を経営されているという。今年の6月現在で、歯科医師数が180人(内中国が80人)、衛生士180人(内中国が80人)、助手受付350人(内中国が100人)で、年間の患者数は80万人だという。また今年の12月には東京都稲城市に敷地面積2000坪の診療所を開設予定だという。文字通り日本一の歯科医院だ。もう25年前になるが昭和61年に訪問した記録がある。スタッフ教育と医療法人の設立に関係しての訪問であったと記憶しているが、強烈な印象のある先生であった。それは待合室に「抜歯〇〇円」「全顎義歯〇〇円」といった価格表が、寿司屋のように貼ってあったことである。標準的な治療の場合の患者負担分の金額だったのだと思うが、発想の斬新さに驚いた記憶がある。当時はまだまだ患者が多く、多額の借金をしても、1年もすれば借入金の重さを忘れてしまうほど収入が上がった時代である。その頃から経営の専門スタッフを置いておられたというのも強い印象として記憶している。訪問した時に松村歯科医院の診察券や名刺入れのような皮製の診察券入れ(?)を頂いたが、そこには「1回の予防は百回の治療に優る」と書いてある。当時すでに一般歯科、小児歯科、矯正とともにインプラントも手掛けておられたが、松村先生に先見の明があったのだろう。医療法人徳真会グループとなっているように歯科医院だけでなく、技工部門の株式会社ワールドラボそれに経営をサポートする株式会社ゼネラルスタッフの3部門を確立させていることである。それと徳真会の強みは技工部に人材を集め、アメリカに歯科医院ではなく、技工の会社を作って徹底した技術教育をし、アメリカのセレブの厳しい要求に応え得るレベルの高い技工士を養成していることである。技工部門を持つ医療法人は多いが、経営指導を専門とする会社を持つ医療法人はないのではないか。最近は新規開業しようにも開業する場所がなくなるほど過密状態である。ということは新人の歯科医師が開業できず、開業を諦めて勤務医になるケースが増えている。しかしこれは大きい歯科医院にとっては追い風になる。優秀な歯科医師の人材を集め、高度な技術力をつけ高い品質の補綴物をアメリカから取り寄せて日本のセレブに満足を与えることができれば、徳真会は更に発展する余地があるのではないか。
今後の歯科医療の財政を展望したとき、現在のような公的医療保険によって歯の治療ができるという環境は早晩縮小していくのではないかと思う。福祉が充実しているデンマークでさえ、成人の歯の治療は患者負担が80%であり、成人の矯正、クラウン、ブリッジ、可撤性パーシャルデンチャーは全額患者負担だという。日本の現状では良質な治療が単価の低い保険によって頭を押さえつけられている現状から、徐々に患者負担が増えていく環境を想定すると、今必要なことは高い技術力を身につけておくことが不可欠ではないか。

№409 人間の責任とは何か 

9月10日に放映されたNHK総合TVの、白熱の哲学講義で有名なハーバード大学のマイケル・サンデル教授が、アメリカのハーバード大学、中国の復旦大学と東京(各会場とも8人ずつの学生が参加)を結んで実施したTV討論「究極の選択、何が公正か」は、なかなか面白い内容だった。

2008年に起こった中国の四川大震災では死者、行方不明者が78,000人、被災者4,600万人という震災であったが、この復旧、復興には裕福な上海市や広州市が被災地を強制的に割り当てられて、お互いに支援競争をさせられたという。中国では家族の絆が強固で裕福な親族が貧乏な親族を支援するのは当たり前であり、国も国民全体でみれば家族なのだという。一方アメリカではハリケーン・カトリーナがマイアミを襲った時も多くの被災者が出た。死者・行方不明者が2,000人、損害額は1,350億ドルだった。住宅を失った人には国が補償したが、その時は以前に住んでいた住宅の価値によって最高15万ドル(80円換算で1,200万円)受け取った人もいれば、ささやかな住宅に住んでいる人は、わずかな補償であったという。東日本大震災の日本では仮設住宅、壊れた家の応急処置に対して国が補助したが、失われた個人の家は貸付に留めているという。また2001年アメリカで起こった9.11同時多発テロで犠牲になった遺族に対しアメリカ政府は遺族に対して補償を行ったが、その時の基準は生前の所得額に準じて保証されたという。こうして見ると補償といっても国によってかなりその考え方や内容が大きく異なっている。アメリカは国と個人が社会的契約を交わしているという視点に立っており、所得の高い人は高い税金を支払っていたという事実からも当然という認識である。中国は家族という発想だが、日本の場合は、日本人は皆同じ人間だからという発想で極めて連帯意識の強い社会であり、各自はどうあれ命の値段に差をつけることに強い反発を感じる。

さて福島の原発事故の責任はどこにあり、誰が責任をとるのか。一番の責任を取るのは東京電力なのか、認可した政府にあるのか、電力を利用している東京近郊の人にも何らかの責任はあるのか、経済的な恩恵を受けていた地元の人、あるいは原発を認めた国民全体に責任があるのかとマイケル教授は問う。そこで補償を次のどれで賄うか、①税金、②借金もしくは国債、③東京電力及び東京電力の株主、④原発の電気を利用していた東京電力の利用者、を挙げて参加者に聞いている。その結果、①で賄うと回答したのは7人(内日本人は4人)、②は2人(同0人)、③が11人(同4人)、④が2人(同0人)となっていた。国債の発行や借金で賄うというのは、原発利用の賛否に参加していない子供に何故付けを払わすのか?という若い参加者の率直な意見である。最後にサンデル教授は「人間の責任とは何か」への答えとして、「人々の善意や良心に希望を持ち続け、人々が同じ社会で一緒に生きていく中で価値を感じ続けられる」ように考え、行動することだという。

№408 人生の舞台・職場 

やはり夏は高校野球の季節だ。ついつい高校野球のTV観戦をする機会が多くなる。どこの高校を応援しているわけでもないが、若い選手が一生懸命戦っているとついついこちらも力が入る。それにしても滋賀の八幡商業と東京の帝京高校の試合は劇的だった。8回までわずか2安打で2塁も踏めなかった八幡商業が、土壇場の9回表3連打で1死満塁とし、ショートのエラーで1点取り、続く遠藤が満塁本塁打で逆転した。帝京の背番号10の渡辺投手は「直球で押しきれると思っていたが置きに行ってしまった」と悔やんだという。帝京エースの伊藤は09年に1年生として出場し、剛速球で注目されたと言うが、次の試合のために温存されていた。出場の機会はなく「甲子園は僕の原点。1年生の夏に出てまた帰ってこられて良かった」と涙もなくさっぱりとした表情だったと記者(毎日新聞)は書いているが、本人は悔しい思いをしていたことは間違いないだろう。

習志野と金沢の試合も1点を追う緊迫した好ゲームであった。150キロの速球を投げる金沢の大会屈指の好投手釜田は、7回表に1対1の同点に追い付いたその裏、2死後に9番の在原にセンター前に打たれた。次の宮内にはフルカウントから外角低めのスラーダーが外れて四球を与えてしまった。最近のTV中継は画面が大きくなったことと鮮度が上がったために選手の表情が非常によく読めるようになった。宮内への四球の最後の球は、「この日一番の球」だったと後で振り返っているように、外角低めのスライダーだったが、審判はボールと判定した。一瞬「アレっ」という表情をした。続く片桐を迎えて「気持ちが上がらないまま、投げてしまった」と本人が振り返っているように、レフト前に打たれて1点取られて敗退した。

甲子園という舞台は球児たちにとって晴れやかな舞台であると共に、多くのことを学ぶ場でもある。あまり知られていない無名の高校が最初に1勝することで俄然注目を浴び2勝、3勝と勝ち進んで行く場合がある。八幡商業もそれに類すると思うが、試合することで実力と自信をつけて勝ち進む場合がある。逆に優勝候補と噂されながら実力を発揮できずに1試合で敗退することもある。大会屈指の好投手釜田でさえ、心の整理がつかずに投げた1球に泣くこともある。高校野球の監督も人間であるから、勝つための野球をすることが目的ではあっても人情が絡む。しかし全員に納得をさせ、協力させながら一つの方向へ導いていかないとチーム力が上がらない。選手の個性を把握しておかないと全体を束ねることができないが、個々の個性をどう引き出して全体の雰囲気、チームワークを高めるか、それを個々の選手に意識させながら個人もチームも成長させることが求められる。

歯科医院の院長にも全く同じだと思う。派手に応援してくれる観衆はいないが、応援してくれる患者がいる。それぞれの職場はで輝かせて自信を付け、全力投球することで実力を付け、チーム力を高めることが経営競争への勝利につながる。

№407 なでしこジャパンの勝因 

「なでしこジャパン」が1勝もできなかったアメリカに勝ち、とうとう世界一になった。その優勝戦を見ていて鳥肌が立つ場面が何回かあった。何度リードされても必ず追いつく「不屈」のプレーにスタジアムの観衆も称賛を惜しまなかったという。現地ドイツでも奇跡と呼ばれていたというが、アメリカの選手に比べて平均10センチ低い身長ながらパスをつないで最期に競り勝った。今回の優勝戦を見ていて「なでしこジャパン」の優勝した原因を考えてみた。日本では男子サッカーに比べて女子サッカーはまだまだ金銭面も含めてプレー環境が厳しい。選手達を取り巻く環境は恵まれているとは言い難い。所属する企業チームの休部が相次ぎ、「仕事」と「サッカー」の両立に苦戦している。かつては国際大会の代表に選ばれても遠征費用の半分は自己負担であったという。「マイナー競技の悲哀」を味わい続けた先輩たちの犠牲の上に今回大輪の花が開いた(毎日新聞)という。大会得点王とMVPのダブル受賞した澤選手でさえ、今季、前所属クラブから「プロ契約はできない」と通告されて移籍を余儀なくされたのだから。失うものは何もない。ただ全力を出し切るのみという姿勢で臨んだはずだ。こうした厳しい環境下で不屈の精神が育まれたと言ってもよいと思う。試合の前後に大震災への復興支援に謝意を表す「世界中の友へ、みなさんの支援に感謝します」と英文で書いた横断幕を持ってピッチを周回したというが、選手達の感謝に対する素直な気持ちがそうさせたのだろう。これに対してアメリカチームは勝たなければならないというプレッシャーに負けたのではないか。もう一つの勝因は、目立たないが佐々木則夫監督の存在である。社会人リーグで選手として活動し、監督を経験して07年から女子サッカー代表の監督に就任している。試合前佐々木監督は女子代表チームが初めて編成された80年代からの映像と東日本大震災の映像を見せている。それを見た選手の一人は「女子サッカーを築いてきた人達がいて、今の自分達がいる」という感想を述べている。そうして横断幕を持ってピッチを回るという行動もそうした映像を見たからであろう。選手達のだれもがチームワークとか団結力を勝因に挙げているが、選手達の体調や疲労度合い等澤選手と連携してよく観察していたという。以前一緒にプレーした後輩は「殴るけるが当たり前の時代に、安心して攻撃に専念しろ」と温かく声を掛けてくれたといい、個々の選手の特性をしっかり把握してその能力を引っ張りだすのに優れていたという。
女性の多い職場の歯科医院も女子サッカーチームに似ている。院長が余り前面に出るよりもスタッフのやる気を引き出すマネジメントがより大き効果を発揮する。仲良くすることは大事だが、スタッフ自身の目標と行動を常に意識させ、仲間との連携を最重要課題と意識させることが重要なのである。

№406 原子力の安全に向けての組織づくり 

東日本大震災が発生して100日が過ぎても福島原発事故は終息を迎えていない。国際原子力機関(IAEA)が東京電力福島第1原発事故に関する包括的な報告書をまとめたという。日本の複雑な体制や組織が緊急時の意思決定を遅らせる可能性があると指摘、東京電力と規制当局、政府間の足並みの乱れによって事故対策が後手に回ったことに警鐘を鳴らしていると毎日新聞は報じている。今回の原発事故によってそれに関わる団体、組織の実態が見えてきたように思う。当事者の東京電力をはじめ原子力安全保安院、原子力安全委員会、それに政府が今回の事故でどのような対応をしたかが問われなければならないし、検証すべきだと思う。
東京電力は福島第1原子力発電所の事故直後の状況を公表したが、3月11日14時46分に東日本大震災が発生し、15時37分には津波による全交流電源が喪失した。そうして翌日の朝の6時には炉心が溶融したと報告している。さらに炉心の溶融が進むと水素爆発を引き起こしかねない。そうした事態を防ぐために格納容器や圧力抑制室についている弁を開けるベント作業も遅れた。3月12日の午前1時30分頃にベント実施を首相、経産相と保安院に申し入れし了承を得たが、実際にベントが実施されたのは14時30分である。そうしてその日の15時36分に原子炉建屋で爆発が起こり、多量の放射線が放出された。前福島県知事の佐藤氏は「東電は福島県民に安全神話を信じ込ませることだけに注力し、原発の安全を守ることをおざなりにしてきた」と批判している。第1原発が稼動して以後2008年までの間に161件の原子力発電にかかる事故を起こしていて、その多くが公表されていないのだという。
これに対して原子力安全保安院は通商産業省の行政の一部門であり、国策として通商産業省が原子力エネルギー政策を推し進める中、その傘下にある原子力安全保安院が中立的な立場でチェックできるわけがない。東電からの内部告発者によって出てきた内容を、その告発者名とともにそっくり東電に流していたというお粗末さである。
また原子力安全委員会は行政から独立した機関で、中立的な立場で国による安全規制についての基本的な考え方を決定し行政機関並びに事業者を指導する役割であり、内閣総理大臣を通じた関係行政機関に対して勧告権を有すると設立趣旨に謳われ通常の審議会にはない強い権限を与えられている。その原子力安全委員会の委員長が水素爆発は起こらないと断言していたのだから何を信じてよいかわからない。この原子力安全委員会が独立した機関であり一番しっかりしていなければならない組織のはずだが、原子炉安全専門審査会をはじめ核燃料安全専門審査会、緊急事態応急対策調査委員会等の部会を持ち、これ以外に必要に応じて14会議(平成23年4月時点で総勢250名)に及ぶ専門部会が持たれている。こうした組織を束ね、一段高い視点でとらえて結論を出すのが政府であろう。

№405 親子診療の難しさ 

ある歯科医院での話である。院長の32歳の息子が5年程度、他の歯科医院での勤務を終えて帰ってきた。院長も喜んで給与も40万円支払い副院長にして歯科医師二人の体制で診療が始まったのだが、院長の目から見てどうも息子の実力が未熟にみえてしようがない。ついつい口をついて出てくることばが、批判的になり、小言になる。そうした雰囲気にスタッフも敏感に反応して、当初抱いていた副院長に対する尊敬の念や態度も微妙に変わってくる。それを肌で感じるから副院長の院長に対する態度が徐々に反抗的になる。些細なことでも理由をつけて勤務時間に遅れて出てくるとか、ちょっとしたミスでもスタッフを叱り飛ばす行動に出て、院長の雰囲気がギクシャクし出してくる。院長も口から出そうになる言葉を飲み込んでしまうからストレスがたまり、それがある時爆発して、息子と決定的な感情のもつれが生じてしまうのである。母親の立場も微妙で、どちらの立場に立つかによって雰囲気が大きく違ってくるが、この母親は歯科医師ではないから診療内容については何も言わないが、給与が少ないから可哀そうだとか、患者も喜んで息子の治療を受けているんだから文句を言うのがおかしいと言って、子供の側について院長を非難する。こうなると家庭では院長が孤立し、診療室では息子が孤立する。
難しい言い方だが、こうした状況に至った責任は院長にある。どちらにも影響を持つ立場にいるからである。特に院長が治療技術に自信を持っている場合が難しい。息子との差が大きいほど、息子の治療が認められなくなるからである。逆の場合は、息子が口を出さない限りは意外に旨くいく。院長として息子の治療技術が気に入らないのであれば、治療技術に関して息子と話し合い、教えるべきである。その場合の基本的な姿勢は「信」「認」「任」の考えに基づいて行う。まず「信」とは、息子の無限の可能性を信じ、それをどう引きだすかを考えるべきである。一人前の歯科医師として院長に信頼されて仕事が与えられていると感じたらその期待に答えようと努力をするものだからである。「認」は「息子の良いところを見て、心にとめる」ことである。息子は自分とは違う人間であり個性も違う。多様な持ち味があり長所がある。これを把握して伸ばすことが指導していく場合の重要なポイントである。息子の成長や進歩を見逃さないことが重要だ。治療の経過や後を見ると悪いところがついつい目につき気になるものである。「認める」に対して悪いところは「見咎める」ことになる。そういうマイナス面を指摘するとやる気がなくなる。たとえそれが真実であっても、いや真実であればこそダメージが大きくなる。「任」は任せることである。しかし「任せっぱなし」は問題である。そのためには「叱る」ことが重要になる。不安な気持ちで治療した結果が余り良くなく落ち着かない時に、叱ることで心理的にストレスがなくなるからである。

№404 緊急事態におけるリーダーシップ 

東日本大震災の行方不明者が未だに13,800人を数えるという。歯科の先生も8名が亡くなられている(日本歯科新聞)。最も痛ましいのは石巻市の大川小学校である。全校児童108名中、64名が死亡、10名が行方不明という。地震発生から40~50分後に津波が襲ったというが、学校の近くに裏山があったのに雪が積もっていたこともあり、全員点呼して避難誘導の途中で波にのまれた。全校生徒が非難して全員無事だった学校もあった。上級生が下級生を引率して避難させ、以前から避難場所として指定されていた場所が危険と判断してより高い場所に避難して助かった。こうした事例を聞くと、強いリーダーの存在と日頃の危機管理及び避難訓練の重要性を痛切に感じる。
原子力安全基盤機構が2010年10月に電源を喪失し冷却機能を失った原子炉は、1時間40分ほどで核燃料が溶け出す炉心溶融を引き起こすことを指摘していたにも関わらず、電源を失うという事態への対策が準備されていなかったという。しかも昨年10月の原子力総合防災訓練では、首相も参加して中部電力の浜岡原発が原子炉すべての冷却機能が喪失して放射性物質放出の恐れがあるという想定で訓練していたというから想定外等とは言えないのではないか。原子力安全委員会という組織は「国による安全規制について、基本的な考え方を決定し行政機関や事業者を指導する」また「内閣総理大臣を通じた関係行政機関への勧告権を有するなど、通常の審議会にはない強い権限を持っています」とある。今回の事故で検証されるべきは、こうした組織が本当に機能していたのかということである。原子力安全委員会の議事録を見ると、大災害が発生した当日及び14日、17日のいずれの臨時会議もわずか5分で終っているというのも理解できない。
東京電力は津波の高さを7~8メートルと想定していたというが実際には14メートルの波が押し寄せて非常用電源が使えなくなった。何故7~8メートルと想定したかの根拠も曖昧である。こうした個々の組織の行動を精査してみると行動目的、指示命令、迅速性、統一性に何か不透明さを見る思いがする。日本の組織の弱点は個々の構成員が全体の雰囲気に流される点である。皆が賛成しているのに自分一人が反対することへの後ろめたさが付いて回り、不本意ながら賛成してしまって誰も責任を取らないという問題である。今回の事故で政府、東京電力、原子力保安院との3つの組織がばらばらに情報を発信していると批判されている。「地震発生から5日目の3月15日、政府は東京電力との統合連絡本部を東電本社内に設置した。だが、遅きに失したのは明らかだ。1号機で水素爆発が起きた12日から、規制・監督当局である原子力安全・保安院で取材を開始。事態が進展する中、逆に事態解決に向けた主導者の不在から官邸、保安院、東電という三者の間で危機管理のタガが次第に外れていくのを感じた」と日経の記者が書いている。

№403 組織上の決定プロセスの問題点 

マグニチュード9.0の破壊力の大きさをまざまざと見せつけられた東北関東大震災である。3月20日現在で死者・行方不明で21,000人だという。長いお付き合いをしている知り合いの歯科の先生お二人のうち、福島県本宮市の先生は無事だったが、岩手県宮古市の先生とは連絡がとれない。ただただ無事を祈るしかない。
それにしてもわれわれの日常生活が豊かになればなるほど、いざというときの備えの大切さを学ばなければならないと痛感する。電気が止まれば何もかもが止まってしまう生活の中にいる。携帯も電源がなければ使いものにならない。ガソリンがなければ車が使えず援助物資の搬送もままならない。特に水は生命線である。ミネラルウォーターの普及が被災者の生命線になった部分も大きいと思うが、東京や大阪のような大都会ではもっと悲惨な状況になることが予想される。水、電気、食料の安定確保が今後の災害対策の要になると思う。同時に個人の立場でも十分な災害対策が不可欠であり、国は国民の防災教育を徹底すべきだ。その前に国は自然災害の予測と対応策を立てるべきだ。想定外の地震であったとしても100年ほど前に発生した岩手県沿岸の明治三陸地震津波は高さ38メートルを記録したといわれているそうだから、岸壁等の備えはどうだったのかと思う。
今回の地震は被害規模の大きさだけでなく、原子力発電所の事故が重なって被害が拡大している。想定外の地震であったとしても、福島第一原子力発電所の事故は、大津波を想定するべきだったのではないか。地震直後では原子力発電所は正常に作動していたというが、後から発生した大津波によって電気系統が海水に浸かってしまったこと、オイルタンクが流出して冷却水を循環させるディーゼルエンジンの燃料が確保できなくなったことが原因とされている。確認したわけではないが、福島第一原子力発電所の岸壁の高さはわずか5メートルだそうだ。国民に対して「安全な原子力発電所」だというのであれば、想定外では済まない問題ではないか。メルトダウンすればとんでもない事故につながることが分かっていて、どうして周辺の機器に対してこの程度の対策しかとっていなかったのか不思議だ。原子物理学の知識の全くない素人が考えても理屈に合わない対策ではないかと思う。
3月6日(日)NHKテレビで放映された「NHKスペシャル・日本人はなぜ戦争へと向ったか」「開戦決定驚きの真相」を見て思うのは、当時の日本国の意思を決定した幹部の誰一人戦争に勝てるとは思っていなかった。であれば何故開戦を決定したのか。大災害、大事件から見えてくる我が国の組織における意思決定上の問題が浮かび上がってきているように思う。

№402 高次脳機能障害のリハビリ 

「閉じこもらないで、一歩踏み出そう」というテーマの高次脳機能障害リハビリ講習会に参加した。脳神経外科医として活躍され、現在大阪で開業、高次脳機能障害者のグループ療法を推進されている山口研一朗先生の話を聞く機会があった。「脳は広大な宇宙である」と言われる。人間の大脳皮質には140億個の神経細胞(ニューロン)があり、その一つの神経細胞には1万のシナプス(細胞と細胞の接点)があるという。脳細胞に情報が伝達される道筋の組み合わせは10の10,000乗になり、膨大な容量だそうである。この脳は生命誕生以来35億年の経過の中で完成されてきたそうで、しかもこの脳は受精後母親の胎内において280日で35億年の進化の歴史を辿って誕生するのだという。脳というものはなんと神秘なものかと驚くばかりである。
人は直立二足歩行することで手の解放と発達が進み、そのことがまた脳の発育を促し、咽頭が下がることで発音をすることが可能となり言葉を得た。特に手の親指と他の指が90度で対向するという位置関係が、親指と他の指とにより複雑に手を使うことができるようになり、それが前頭連合野、運動連合野の発達を促し道具の使用と作成を可能にした。他の哺乳動物に比べて人間は言葉を見つけ、言語による他者とのコミュニケーションを交わすことができたことが決定的となり、それが集団、共同生活を可能にしたという。
最近は高次脳機能障害や外傷性脳機能障害について全国的に注目されるようになってきた。そうした動向から交通事故による前頭葉の損傷等により障害に苦しんでいる人を周囲でも多く見かけるようになった。前頭葉の損傷では事故後落着きがなくなるとか、衝動的になる等行動を抑制する機能の低下や記憶障害、何もする気がなくなる等が報告されている。また側頭葉の損傷では知能も維持され人格も保たれるものの記憶が残せなくなる等が報告されている。
山口先生の実践されている高次脳機能障害者を対象にした「グループ療法」が、スタッフ教育の参考になると思う。勿論正常者であるからそのまま使えるというものではないが、考え方が参考になる。リハビリの目的は「気づき」にあるという。「気づいていない」状況から→「漠然とした気づき」→「知的気づき」→「体験的気づき」→「予測的気づき」により自己認識・自己表現を学ぶ。そのために①自らの身の回りに起こったことを文章にする。②どのような行動が問題を起こしたのかを考える。③問題が生じたことに対して内省をする。自分の行動の何が問題だったのか。④「振り返り」の中で文章として記録する。こうした思考方法は正常者でも同じである。その他、「感情のコントロールの方法」、「他者と的確な距離を保つ」、「他者とのコミュニケーションを円滑に営む」、「共通の課題に関する触れ合い、語り合い」、「社会的ルールを守る」等が具体的にグループで話し合われている。医院のスタッフ教育も基本的には同じではないかと思う。

№401 生き残るのは若い人材力 

国際政治学者の高坂正尭先生の「文明が滅亡するとき」によれば、13~14世紀の地中海、世界に君臨したベネティア(ベニス)は16世紀後半以後には「内なる変化」にさらされ、喜望峰が発見されるという当時の「グローバル化」を見誤り「守旧的性格」が強まって、過去の蓄積で生活を享受しようという風潮が蔓延し、貴族男子の未婚率が60%に達したという。「生活水準を維持したいという気持ちから子孫を増やさない」ためだったというのである。なにやら今の日本と酷似しているように思う。ベネティアという国は結局衰退し滅びてしまうが、保守的な後ろ向きの姿勢では国は活性化しないということである。
昨年4月、米ワシントン・ポスト紙が「2000年以来、米大学における日本人学生数が減り続け、学部生の数が52%減少、大学院生の数が27%減少した。一昨年秋(注:'09年)ハーバード大学の学部に入学した日本人は1人だった」と報じて話題になった。同紙によれば、日本人が減少する一方、中国、韓国、インドからの学生数は倍以上に増加。同紙は日本人減少の理由を「学生の安定志向が高まり、冒険心が薄れたため」とし、日本は「草食動物の国」に衰退したと断じた。昨年3月に来日したハーバード大学のドリュー・ギルピン・ファウスト氏は「日本の学生や教師は海外で冒険するより、快適な国内にいることを好む傾向があるように感じた」と語っている。なおハーバード大学に合格した'10年の合格者数は5人だったそうである。(中国人が36人、韓国人が42人)何もハーバード大学が全てではないが、ハーバード大学を卒業してその後、多くの国の指導者に育っている事実を見れば世界中から優秀な学生が集まり、交流することで将来の人脈構築、従って情報のネットワーク作りに極めて重要な意味を持つことになると思う。国を指導する人材ならばこのような大学に進むべきだし、国も支援するべきだと思う。
今日本は大きな曲がり角に直面している。大企業は国外に進出し、系列の中小企業も出ていかざるを得ない環境にある。パナソニックは2011年採用者数を1390人と公表しているが、うち国内が290人(対前年比210人の減少)、海外で1100人(同352人増)であり、楽天やユニクロは社内の公用語を英語にするという。キャノンは円高によって輸出の採算が取れなくなってきていることから「最先端の生産技術」を海外に移転させるという。優秀な大企業ほど国の枠を外れてドンドン海外に出ていく状況にある。従って国内の求人数は減少せざるを得ず、若者の失業が増えてきている。若年層の人口減少と高齢人口の増加、所得格差の拡大、価値観の多様化が急速に進むと思う。歯科医院経営環境も大きく変わる。その環境の中で生き残れるのは、優秀な人材を揃えて、その若い力を思う存分発揮させる職場環境を作り上げた歯科医院だけではないか。

№400 高齢化社会への対応 

明けましておめでとうございます。今年もご愛読、宜しくお願い申し上げます。
東京都内の、1軒が1億円も2億円もするマンション(これを「億ション」と言うそうだが)がよく売れているという。この不況下で誰が買っているのかと思ったら、中国人と日本人の高齢の富裕層だそうである。今中国の富裕層が海外に住居を移しているというからうなずけるが、日本人の高齢の富裕層がなぜ都内の億ションを買うのか?理由は東京都周辺の他県に住むお年寄りが、体が弱くなって交通の便利な都心の防犯完備のマンションに移り住んでいるのだという。筆者の住んでいる橿原市周辺でも同じような現象が出ている。今年近鉄沿線の駅前に80室のマンションができたが、売りに出して間もなく完売した。若い家族も入っているがお年寄りも多い。周辺の交通の不便な町や村から移り住んできている。前に息子や娘達が村や町から出てきて市内に住んでおり、親を呼び寄せているのだという。こうし現象は多分今後も続くのではないか、いや益々増加すると思う。みんながその様な行動を取ると言うことではないが、余裕のあるお年寄りや、子供が呼び寄せるという場合もある。さらに今後交通不便な地方での高齢者の生活実態を考えると、高齢者同士の協同住宅や集合住宅が増えることも予想される。
こうした現象が進むと、歯科医院経営における立地条件も大きく変わらざるを得ない。診療所の近くにある大きな工場が閉鎖されたというような極端な例ではないが、徐々に進んでいくだけに見落としがちになるが、歯科医院も人の動きに敏感に反応する必要がある。と同時に患者層も徐々に高齢化する。今年の夏は猛暑が続いたから予約のキャンセルが多かったが、高齢が進んでいる地域の歯科医院ほど多くなっている。雨が降ればキャンセルが増えるとか、補綴物、特に義歯の修理が増えるといった現象が多くなる。デパートでは高齢者のための「おもらしによる下着の着替え場所」まで作っているところがある。来院してから帰るまですべてにわたって高齢者が快適に治療を受けられる環境かを検証してみることも必要になるのである。例えば診療所の入り口をバリアフリーにする等というのは常識にさえなっているし、院内の掲示板も一つ大きい文字に替える必要がある。スリッパに履き替えず靴を履いたまま診療が受けられるようにする、廊下や診療室まで手すりをつける、あるいはスタッフは待合室まで次の患者を迎えに出る等である。天草では患者のためにバスを走らせている歯科医院がある。より多くの患者さんの来院を期待するなら、高齢社会ではこういうサービスも必要不可欠になってくる。診療内容も含めて高齢社会への見直しが不可欠である。

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